北海道由仁町|全2回の研修レポート
地域の魅力を伝えるために、生成AIをどう活かすか。
投稿文づくりの基礎から、投稿改善、動画活用、参加者同士の共有へ。由仁町で開催した「広報発信・AI活用セミナー」を、講師の視点から振り返ります。
「地域の魅力をSNSで伝えたいけれど、投稿を考える時間が取れない」「生成AIに興味はあるけれど、広報にどう使えばよいか分からない」。地域の情報発信では、こうした課題に向き合う場面があります。
ハッピーステート株式会社の上田良江は、北海道由仁町で開催された全2回の「広報発信・AI活用セミナー」で講師を担当しました。
第1回はChatGPTを使ったSNS広報の基礎、第2回はChatGPT・Manus・CapCutを活用した発信の実践へ。AIの機能を知るだけでなく、地域の情報発信にどう取り入れるかを考える時間となりました。
北海道由仁町で全2回の広報発信・AI活用セミナーを開催
第1回は2026年8月20日、第2回は2026年10月1日に、由仁町健康元気づくり館で開催しました。開催時間はいずれも18:00〜20:00です。本記事は、全2回の実施内容と、アンケート結果・当日の様子をまとめた開催後のレポートです。
開催前に掲載した由仁町主催セミナーの登壇・開催告知では、募集時点の概要を紹介しています。こちらの報告記事では、実施後に分かった参加者の反応と、地域のSNS広報へ応用する考え方をお伝えします。
今回のセミナーは、由仁町の農産物や景観、地域の情報を発信する際に、生成AIを活用する考え方と操作を学ぶ研修です。SNS投稿を作る基礎から、より伝わりやすく改善し、発信を続けるための工夫までを全2回で扱いました。
| 項目 | 第1回 | 第2回 |
|---|---|---|
| 開催日 | 2026年8月20日 | 2026年10月1日 |
| 開催時間 | 18:00〜20:00 | 18:00〜20:00 |
| 会場 | 由仁町健康元気づくり館 | |
| 主なテーマ | SNS広報の基礎と投稿づくり | 投稿改善・継続発信・動画活用 |
| 使用ツール | ChatGPT | ChatGPT・Manus・CapCut |
| 講師 | ハッピーステート株式会社 上田良江 | |
地域の素材から考える、SNS広報の実践
地域PRの出発点になるのは、その地域にある情報や素材です。農産物の写真、季節の景観、店舗やイベントの案内など、すでに手元にある素材から「何を届けたいか」を考えられます。新しい表現を作る前に、紹介する内容と確認できている情報を整理することが、投稿づくりの土台になります。
例えば、農産物の写真を紹介する場合、商品そのものへの関心を高めたいのか、販売場所を案内したいのか、地域を訪れるきっかけを作りたいのかで、文章の組み立ては変わります。目的が曖昧なままAIに依頼すると、読みやすくても、何を伝える投稿なのか分かりにくい文章になりかねません。
全2回という構成は、基本的な考え方と操作を学んだうえで、改善や動画活用へと段階的にテーマを広げる設計です。以下では当日の様子に加えて、地域広報に応用する際の考え方や指示文の例も紹介します。活用例は、参加者の実際の成果物や集客実績を示すものではありません。
第1回:ChatGPTを使ったSNS広報の基礎と投稿づくり
「誰に・何を伝えるか」を整理する
SNS投稿を考えるとき、最初に整理したいのは、届けたい相手と一番伝えたい内容です。同じ農産物の紹介でも、家族でのお出かけを考えている人と、食材に関心のある人では、伝え方が変わります。
第1回では、ChatGPTを使いながら、地域の情報を投稿へ落とし込む考え方を扱いました。AIへ依頼するときにも、対象者・目的・確認済みの事実情報を伝えることが大切です。
AIへの指示では、「魅力的に書いて」という依頼だけでなく、読み手が何を知りたいかを具体化します。例えば、初めて地域を訪れる人に向けた案内なら、地域内で共有されている略称や言い回しも、そのままで伝わるとは限りません。発信する側には当然の情報でも、読み手には説明が必要なことがあります。
また、誰に向けるかを決めることは、それ以外の人を排除することではありません。一つの投稿で一番伝えたい相手を想定すると、情報の順番や言葉を選びやすくなります。対象者を整理したうえで、他の方が読んでも誤解しない表現かを確認することが、地域広報では大切です。
ChatGPTへ伝えたい5つの条件
投稿文のたたき台を依頼する際は、次の5つを整理すると、出力を評価する基準も作れます。すべてを長く書く必要はありません。分かっていることを短くまとめ、不明な情報を混ぜないことがポイントです。
- 対象者:誰に読んでもらいたいか。
- 目的:何を知ってほしいか、次に何をしてほしいか。
- 事実情報:確認できている日時・場所・紹介内容など。
- 文章の条件:長さ、雰囲気、改行、避けたい表現など。
- 不足情報の扱い:推測で補わず、「要確認」とすること。
地域PRの投稿文を依頼する指示文の例
あなたは地域SNS広報の編集担当者です。以下の確認済み情報だけを使い、Instagramの投稿文を作成してください。
対象者:【届けたい相手】
一番伝えたいこと:【投稿の目的】
確認済み情報:【日時・場所・紹介内容】
誘導先:【公式サイトなど】
最初の1〜2文で内容が伝わるようにし、読みやすい改行を入れてください。日時・料金・営業時間などを推測で追加せず、不足している情報は「要確認」としてください。
この例は、紹介する素材や目的に合わせて書き換えて使えます。出力を見てから条件を足す場合も、単に「もっとよくして」ではなく、「冒頭でイベントの案内だと分かるように」「公式サイトへの案内を短く」と、見直す箇所を具体的に伝えます。
投稿文やキャッチコピーを考える
生成AIは、投稿文のたたき台や、短いキャッチコピーの候補を考える際に役立ちます。一度に複数の表現を比較できるため、伝えたい内容に合う言葉を検討しやすくなります。
ただし、出力された文章をそのまま使うのではなく、地域の実情に合っているか、初めて読む人にも内容が伝わるかを確認する必要があります。
キャッチコピーを比較するときは、言葉の目新しさだけで選ばず、投稿の内容と一致するかを確認します。「家族で楽しめる」と書くなら、その根拠となる情報があるか。「限定」「今だけ」などの表現も、確認済みの条件と合っている必要があります。
ハッシュタグについても、地域名、紹介する内容、想定する関心などから候補を考えられます。ただし、候補を多く出すことと、実際の投稿に適切なものを選ぶことは別の作業です。紹介内容に関係のない語を増やさず、地域やテーマを正しく表しているかを確認します。
画像に入れる言葉と本文の役割も整理したいところです。表紙には主題が分かる短い言葉を置き、本文で必要な説明を補うなど、見る順番を考えます。文章・画像・案内先で情報が食い違わないように、最後に全体を読み直すことが大切です。
集中して操作に取り組む参加者の皆さん
第1回で印象に残ったのは、説明を聞きながら、集中して操作に取り組まれていた参加者の皆さんの姿です。講師として、目の前の操作や内容を確かめながら学ばれている様子が印象に残りました。
第1回のアンケート結果:回答者の90%が満足以上
第1回の終了後アンケートには、30名から回答をいただきました。満足度の結果は次のとおりです。
「とても満足」「満足」と回答した方
90%
アンケート回答者30名のうち27名
| 回答 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| とても満足 | 6名 | 20% |
| 満足 | 21名 | 70% |
| 普通 | 3名 | 10% |
※30名はアンケート回答人数です。上記以外の不満にあたる回答はありませんでした。
回答者の多くから肯定的な評価をいただけたことは、講師としてうれしい結果でした。一方、満足度だけで、その後の活用やスキルの定着まで判断することはできません。研修で学んだことを、実際の投稿づくりにどうつなげるかも大切にしたいと考えています。
満足度と、研修後の実践を分けて考える
満足度は、参加者が研修をどう受け止めたかを知るための情報です。一方で、その後に投稿を作成したか、継続的に活用できたか、情報確認ができたかといった点は、別に確かめる必要があります。今回の90%という数値も、アンケート回答者の満足度を示すもので、全参加者の習得や広報成果を表すものではありません。
研修後の実践を考える際には、まず小さな作業に置き換える方法があります。例えば、すでにある投稿文の冒頭を見直す、写真に添えるコピーを複数考える、次回の投稿テーマを整理するなどです。新しくすべてを作るより、普段の仕事の一部で試すと、使いどころや確認すべき点を検討できます。
第2回:ChatGPT・Manus・CapCutを活用した発信の実践
第2回では、ChatGPT・Manus・CapCutを使用し、投稿の改善や継続発信、動画活用へとテーマを広げました。
投稿を改善し、無理なく続ける方法を考える
投稿づくりでは、文章を作るだけでなく、対象者が分かるか、冒頭で内容が伝わるか、必要な情報がそろっているかを見直すことが重要です。
また、発信を続けるには、使える写真や動画、投稿本数、作業に使える時間を踏まえた計画が必要です。AIを活用する際も、実行できる条件を伝えながら考えることを大切にしました。
AIで投稿を改善するときは、変更理由も確認する
投稿改善では、最初から完成文だけを求めるより、「どこが分かりにくいか」を先に整理する方法もあります。対象者、紹介する内容、冒頭の伝わり方、情報の順番、不足情報、最後の行動案内など、確認する項目を決めて依頼します。
例えば、文章の後半にイベントの日時が埋もれている場合は、読み手が必要な情報を探しにくいかもしれません。地域の紹介とイベント案内が混在している場合は、一番伝えたいことを冒頭に置くなどの改善を検討できます。こうした例も、事実を増やすのではなく、既存の情報の順番を見直す考え方です。
修正後は、元の文章と比較します。言葉が自然になっていても、予定だったことが確定事項に変わる、対象条件が抜ける、注意事項が省略されるといった変更には注意が必要です。読みやすさと正確さを、両方の観点から確認します。
投稿改善の指示文の例
以下の投稿文について、対象者・冒頭の分かりやすさ・情報の順番・不足情報・最後の行動案内を確認してください。まず改善点と理由を示し、その後に改善文を作成してください。事実や条件を変えず、入力されていない情報は追加しないでください。
作業時間と素材から、投稿計画を組み立てる
継続発信の計画では、理想の投稿頻度だけでなく、素材の整理、文章作成、確認、公開までに使える時間を考えます。投稿案が多くても、必要な写真がない、内容の確認が間に合わないといった状況では、そのまま実行することは難しくなります。
例えば、1か月に7本、1週間に約2時間という条件で考えるなら、その範囲で使える写真や確認済みの予定をAIへ渡します。「時期・テーマ・素材・形式・伝えること・誘導先・事前確認」の項目で候補を整理すると、何を準備すべきかも見えやすくなります。これは計画づくりの例であり、実際の投稿実績を示すものではありません。
イベントの告知と通常の地域紹介では、公開時期の優先度も違います。日時の決まった案内を先に整理し、残りの枠へ季節の素材などを組み合わせる方法があります。未確認の予定は確定情報として扱わず、確認担当や期限を別に管理します。
計画を作った後も、素材がそろわなければ形式を変える、確認が済まない内容は見送るなど、調整できる余地を残します。継続のためには、予定を埋めることに加えて、無理なく公開できる状態を整える必要があります。
由仁町の農産物を紹介するなら、写真と説明の役割を分ける
ここからは、今回の地域広報というテーマを、日々の投稿へ置き換えるための補足例です。参加者が実際に作った投稿や、公開後の成果を紹介するものではありません。由仁町の素材を使って発信を考える際に、どのような情報を整理できるかを具体化します。
農産物の紹介では、写真から分かることと、文章で補う必要があることを分けて考えます。見た目の色や形は写真で伝えられても、品種、販売する場所、取り扱う期間などは、写真だけで判断できない場合があります。AIには写真の印象と確認済みの商品情報を分けて渡し、見た目だけから味や産地を断定しないように依頼します。
例えば、写真に添える短い文章を考えるなら、まず農産物の名称と、紹介できる特徴を整理します。「甘い」「採れたて」「数量限定」といった言葉は魅力的ですが、その根拠が確認できなければ使いません。地域の発信では、強い表現を増やすより、確かな情報を分かりやすく伝えることが信頼につながります。
同じ写真でも、地域に関心を持ってもらう投稿と、販売場所を案内する投稿では、必要な文章が異なります。前者では地域の季節や営みへの関心を促し、後者では場所や確認先を明確にします。二つを一度に詰め込みすぎず、一番伝えたいことを決めたうえで、補足情報をどこに置くか考えます。
イベント告知は、紹介文と参加判断の情報を整理する
地域イベントを紹介する場合、雰囲気を伝える文章と、参加するために必要な情報の両方を用意します。読み手が内容に興味を持っても、日時や会場、問い合わせ先が分からなければ、次の行動を決めにくくなります。AIで文章を整えるときも、こうした情報を省略していないか確認します。
告知文を短くする際には、削ってよい説明と、残す必要がある条件を分けます。事前予約の有無、対象者、変更時の確認先など、参加判断に関係する条件は、文章の長さだけを理由に落とさないようにします。不明な項目があれば、その部分を確認するまで公開を待つか、確定した情報の範囲だけを案内します。
また、投稿を見た時点では予定を決めない人もいます。あとから見返しても分かるように、「今週末」だけでなく具体的な日付を記載するなど、読むタイミングが違っても理解できる表現を選びます。画像と本文に日付を載せる場合は、両方が一致しているかを確認する必要があります。
AIが作成した告知文の確認では、内容の魅力に加えて、読み手が何を判断できるかという視点を持ちます。紹介するイベントの情報、参加に必要な条件、詳細を確認する場所を分けると、不足している項目を見つけやすくなります。これは地域の広報担当者にも、店舗から告知する方にも応用できる整理方法です。
町の発信と店舗の発信で、文章をそのまま使い回さない
同じ地域イベントや農産物を紹介する場合も、町のアカウントと店舗のアカウントでは、発信者の立場や案内できる内容が異なります。町として地域全体を紹介する文章を、店舗の商品案内へそのまま転用すると、誰の情報なのか分かりにくくなることがあります。AIへ依頼するときには、発信者の立場も条件として伝えます。
店舗の投稿では自店への案内を、地域の投稿では公式情報の確認先を示すなど、発信者が責任を持って案内できる先を選びます。「私たち」「当店」「町内」といった言葉も、読み手が指す範囲を理解できるか確認します。文章の変更が少なく見えても、立場の違いによって意味が変わるためです。
このように、地域素材を使った発信では、文章を作る操作に加えて、素材の説明、参加条件、発信者、案内先を整理する作業が必要です。今回の由仁町の研修を参考にする際も、使ったツールだけを再現するのではなく、自分が紹介する情報と読み手に合わせて、指示や確認項目を調整していただければと思います。
AIエージェント「Manus」で、リール案を一連の流れで作成
第2回では、AIエージェントのManusを使い、地域PRに向けたリール案を作成する体験も行いました。紹介したいテーマと届けたい相手、使う素材を伝え、短いリールとしてどう組み立てるかを一連の流れで提案してもらいました。一つの字幕を考えるだけでなく、編集へ進むための企画・構成をまとめて作る取り組みです。
進行台本では、15〜30秒のリールを想定し、写真の表示順、各写真に添える字幕、画面の動き、ナレーション案、BGMの雰囲気、最後の誘導文までを整理する流れを用意しました。今回も、こうした要素を含む一連のリール案をManusに考えてもらいました。
最初に何を見せて興味を持ってもらい、途中でどの特徴を紹介し、最後にどの情報へ案内するか。複数の要素を一本の動画としてつながるように整理することが、今回体験したポイントです。提案を見ながら、人が素材や事実に合っているかを確認し、採用する内容を決めます。
画像を添付せず、無料の範囲でリール構成を体験
今回の研修時の利用環境では、Manusへ画像をアップロードする際に有料プランが必要だったため、実践は無料で利用できる範囲で行いました。写真そのものを添付する代わりに、写っている内容を文章で説明し、その情報をもとにリール案を考えてもらいました。
文章で素材を伝えるときには、写真ごとに何が写っているか、どの特徴を紹介したいかを整理します。例えば「写真1は商品の全体」「写真2は特徴が分かる部分」「写真3は案内に使う場面」といった説明が考えられます。これは説明方法の例であり、当日の参加者が使った写真や成果物を示すものではありません。
画像を渡していない場合、AIは実際の写真の細部を見て判断できません。説明していない内容を補わせず、不明な情報は確認事項として残します。写真の内容を言葉にする過程は、人にとっても、どの素材を使い、何を伝えるかを整理する機会になります。
今回の体験範囲:画像をアップロードせず、素材を文章で説明してリールの企画・構成案を作成しました。料金の記述は研修時の利用環境についてのものです。今後利用する際は、その時点のプランと利用条件をご確認ください。
Manusの構成案を、CapCutでの編集につなげる
今回の流れでは、ChatGPTで投稿や発信内容を考え、Manusでリールの企画・構成をまとめ、CapCutで写真や動画、字幕などを編集するという役割を整理しました。Manusに一連の案を作ってもらう段階と、動画を編集して仕上げる段階を分けると、それぞれのツールをどこで使うかが分かりやすくなります。
構成案ができたら、提案された順番で素材を並べられるか、字幕は写真と合っているか、ナレーションに未確認の情報が入っていないかを見直します。BGMについても、提案された雰囲気を参考にしながら、実際に使う音源の利用条件を確認して選びます。案をもとに、自分たちの発信として整える作業です。
進行台本では、CapCutで写真の順番や表示時間を調整し、字幕や動きを加えて試作する流れを用意しました。動画の保存まで進む方と、構成を整理する段階に取り組む方がいることも想定した内容です。参加者全員が完成動画を制作したと一括りにせず、リール案を作ることから編集へ進む道筋を体験した研修として振り返ります。
動画生成の場面で聞こえた「おおー」という声
動画生成の場面では、会場から「おおー」と驚く声が聞こえてきました。画面上で映像ができあがる過程を見て、反応が生まれたことが印象に残っています。
文章だけでなく、画像や動画も発信に取り入れることで、地域の情報をどのように見せられるか。実際の画面を通して考える時間になりました。
動画は、伝える順番を決めてから作る
地域PRの動画では、動きのある映像を作ることに加えて、何をどの順番で伝えるかを考えます。農産物を紹介するなら、全体の見た目、特徴が伝わる場面、確認済みの案内情報など、目的に合わせて素材を選びます。映像の構成を先に整理すると、必要な写真や字幕を検討できます。
写真を使った短い動画を考える場合は、写真の表示順、画面に入れる言葉、切り替え、音声の有無、最後の案内を分けて整理する方法があります。すべてを盛り込まず、一つの動画で伝えたい主題を絞ることも大切です。
字幕は、写真の上で読めるか、表示時間が足りるか、必要な情報が画面の外へはみ出していないかを確認します。編集画面だけで判断せず、書き出した動画を実際の大きさで見直すと、制作中には見落とした点にも気づけます。
ChatGPT・Manus・CapCutといった複数のツールを扱う場合も、名前や機能を覚えることだけを目的にしないことが大切です。構成を考える、素材を用意する、編集する、内容を確認するという作業ごとに、どこで何を使うかを整理すると、制作の流れを把握できます。
地域の魅力を紹介する動画では、映像の印象と案内情報を一致させる必要があります。生成や加工によって現実と違うものが映っていないか、字幕の日時や場所が正しいか、視聴後にどこで詳細を確認できるかまで見直します。
ペアで共有する時間と、増えた質問
第2回では、ペアで内容を共有する時間も設けました。参加者同士で話す場面があり、第1回よりも質問が多かったことも印象的でした。
第1回には集中して学ぶ雰囲気があり、第2回には対話しながら取り組む活気を感じました。ペアでの共有も、その雰囲気につながったのかもしれません。
第2回の評価について
第2回のアンケート結果を受領し、以下に追記しました。会場の反応については、講師が当日見聞きした様子として紹介しています。
共有するときは、作ったものと判断の理由をセットにする
参加者同士の共有では、完成した文章や映像を見るだけでなく、誰に向けて作ったか、どこを直したか、迷った点は何かを伝える方法があります。こうした説明があると、他の方も自分の発信に置き換えて考えられます。
また、作成者には分かっていても、初めて見る人には意味が伝わらない言葉や、確認したい情報が残っていることがあります。第三者の視点を取り入れることは、公開前の見直しにもつながります。今回のペア共有の活気を、今後の研修設計でも生かしていきたいと感じました。
ただし、会場での発言の多さと理解度は同じものではありません。静かに考える方も、操作しながら確認する方もいます。質問や共有の機会を用意するとともに、個人で取り組める時間も含めて、学びやすい進め方を考える必要があります。
第2回のアンケート結果:AI動画生成が「特に役立った内容」で最多
第2回には20名が参加し、終了後のアンケートには16名から回答をいただきました。
「特に役立った内容」を尋ねた複数回答の設問では、AI動画生成を11名が選び、最も多い結果となりました。Instagramリールの構成も7名が選択しています。
動画生成の場面で会場から聞こえた「おおー」という声に加えて、アンケートからも、映像やリールを活用した発信への関心がうかがえました。
第2回の実践で確認できた学びと関心
- AI動画生成が役立った:16名中11名(複数回答で最多)
- AIエージェントによるPR企画の進め方を「よく・ある程度理解できた」:16名中12名(75%)
- 今後の広報・SNS発信に活用できそう:肯定回答16名中10名(62.5%)
回答者の75%が、AIエージェントによるPR企画の進め方を理解したと回答
AIエージェントを使ったPR企画の進め方については、「よく理解できた」が3名、「ある程度理解できた」が9名。合わせて回答者の75%となりました。
今回のManusの実践では、リールの構成、字幕、ナレーション案、BGMの雰囲気、最後の誘導文まで、一連の案を考えてもらいました。編集へ進む前に、伝えたい内容と順番を整理する体験です。
また、今後の広報・SNS発信に活用できそうかという質問では、10名が肯定的に回答しました。
※これらは研修終了時の自己評価であり、研修後の活用実績や集客成果を示すものではありません。
実践を通じて生まれた活用意欲と、今後の改善点
自由記述では、AIを直接学べる機会が貴重だったことや、実践しながら進められたことへの評価が寄せられました。アプリの準備に手間取りながらも、使ってみることでPR告知への意欲が湧いたという声もありました。
全体の満足度は、「とても満足」1名、「満足」10名、「普通」3名、「やや不満」2名、「不満」0名でした。
| 回答 | 人数 |
|---|---|
| とても満足 | 1名 |
| 満足 | 10名 |
| 普通 | 3名 |
| やや不満 | 2名 |
| 不満 | 0名 |
一方で、内容の難しさ、複数アプリの切り替え、無料で利用できる範囲の制限についての意見もいただきました。
こうした声を踏まえ、今後の研修では、事前準備の案内、ツールごとの役割と操作手順の整理、実践時間の配分を見直していきたいと考えています。学んだ内容を、それぞれの発信に取り入れやすくするための研修づくりに生かしてまいります。
※アンケート回答者16名。「特に役立った内容」は複数回答です。自由記述は趣旨を要約して紹介しています。
制作の流れを体験することと、一人で完成できることを分けて振り返る
今回の研修は全2回で完結する構成でした。動画制作に充てられる時間が限られた中で、初めて触る複数のアプリを使い、自力で完成まで進めることにはハードルがあると感じます。構成を考えることに加え、素材の取り込み、編集、保存、無料枠の制限への対応など、複数の工程があるためです。
振り返る際には、「動画活用の可能性を知り、制作の流れを体験すること」と、「一人で動画を完成させられるようになること」を分けて考えたいと思います。AI動画生成を11名が「役立った」と選んだことは、体験の価値を振り返るうえで肯定的な材料です。一方、今回のアンケートでは、一人で操作を再現し、動画を完成できるかまでは測っていません。
全2回で完結する研修だからこそ、限られた時間で何を持ち帰っていただくかが大切です。難しかったという声も受け止めながら、今回の体験で伝わったことと、操作や活用に向けて支援が必要な点を区別し、今後の研修設計に生かしていきたいと考えています。
自治体のSNS広報で大切にしたい生成AIの使い方
投稿文の事実情報を確認する
地域の情報を発信する際は、日時・場所・料金・営業時間などが正しいことが前提です。AIに文章を依頼するときは確認済みの情報を渡し、不明な情報を推測で補わないようにします。
文章が読みやすく整っていても、内容が正しいとは限りません。公開前には、公式情報や担当者への確認が必要です。
実際の地域情報とAI生成イメージを区別する
AIで生成した景観や施設のイメージが、実在する場所として受け取られないようにすることも大切です。地域の紹介では実際の写真や動画を基本とし、生成イメージを使う場合は、見る人が誤認しない表現や表示を検討します。
写真に写る人物の掲載許可や、音楽・画像などの利用条件も含め、素材を確認したうえで発信しましょう。
公開前に確認したい4つのポイント
- 日時・場所・料金などが確認済みの情報と一致しているか
- 写真・人物・音楽などの利用条件を確認しているか
- AI生成イメージを実在情報と誤認させないか
- 案内するリンクや問い合わせ先が正しいか
AIへの入力情報と、公開情報をそれぞれ確認する
投稿の素材や参考資料をAIへ渡す前には、公開してよい情報かを整理します。住民や顧客の個人情報、内部の連絡事項、まだ公表されていない内容などを、投稿づくりに不要なまま入力しないようにします。所属する組織の運用ルールと、利用するサービスの条件に沿って判断することが必要です。
AIへ渡す資料を整理する際は、公開済みの案内文、利用が認められた写真、確認済みの日時や場所など、目的に必要な情報を選びます。多くの情報を渡すことより、使ってよい情報と使わない情報を分けることを優先します。
投稿前の確認を、制作の流れに組み込む
確認作業は、投稿を作り終えてから思い出すのではなく、最初から工程として用意しておきます。文章を作る人、情報を確かめる人、公開する人が異なる場合は、どの状態になれば次の担当へ渡せるかを整理すると、判断の行き違いを減らせます。
例えば、作成した下書きに、参照した公式情報と確認待ちの項目を添える方法があります。「料金は確認済み」「写真の掲載許可は確認中」など、状態を明記すれば、文章が完成していても公開前に残っている作業を把握できます。
AIに誤りや不足情報の確認を依頼することはできますが、その出力だけで公開可否を決めることはできません。最終的には地域の情報を把握している担当者が、内容と素材を確認します。AIを活用しながら、人が判断する部分を明確にしておくことが大切です。
全2回を振り返って:学びを地域の発信につなげるために
今回の全2回の研修では、第1回の集中して取り組む姿と、第2回の質問や共有を通じた活気、それぞれの様子が印象に残りました。
生成AIを地域広報に活かすには、操作を覚えることに加え、伝えたい相手を考えること、地域の事実を確認すること、無理なく続けられる方法を選ぶことが重要です。
講師として、参加者の皆さんが実際に試し、疑問を言葉にし、他の方と共有できる時間を、今後の研修でも大切にしていきたいと考えています。
ご参加くださった皆さま、開催にご協力いただいた由仁町の関係者の皆さま、ありがとうございました。
研修後は、一つの投稿から実践を始める
研修後に試すなら、まずは手元の素材で一つの投稿案を作るところから始められます。目的と対象者を決め、確認済みの情報を整理し、AIで下書きを作成したうえで、自分で読み直します。最初から複数の媒体や動画まで広げず、実行できる範囲で制作の流れを確かめます。
使った指示文と修正した箇所を残しておくと、次回の投稿でも考え方を再利用できます。ただし、前回の日時や料金などを残したまま使わないよう、事実情報は投稿ごとに更新します。ひな形として残す部分と、毎回確認する部分を分けることが重要です。
公開後は、反応の数だけでなく、必要な案内が伝わったか、内容について質問があったか、リンク先と情報が一致していたかも振り返れます。投稿を作成した記録と、公開後に分かったことを残すことで、次の改善を具体的に考えられます。
由仁町の事例を踏まえた、地域広報のAI研修のご相談
ハッピーステート株式会社では、自治体・企業・団体向けのAI研修を行っています。SNS広報や地域PRをはじめ、対象者や業務の目的に合わせた研修をご相談いただけます。
研修の目的と、持ち帰りたいものを整理する
研修を検討する際は、「生成AIを学ぶ」という大きな目的を、担当業務の具体的な場面へ置き換えると、内容を相談しやすくなります。広報なら投稿文の作成、地域PRなら写真を使った紹介、継続発信なら投稿計画など、どの作業を扱いたいかを整理します。
参加者の操作経験、使用する端末、利用できるツール、実践に使える素材によって、進め方も変わります。地域の写真や公開済みの案内資料を題材にする場合は、利用条件を確認したうえで準備することが大切です。
また、研修後に何を持ち帰りたいかも相談の目安になります。投稿の下書き、改善の視点、動画の構成案、公開前の確認項目など、目的に合わせて検討します。短時間で多くのツールを詰め込むより、参加者が自分の仕事で使う場面を想像できる内容を目指します。
研修の実施形式や講師派遣など、サービス全体については、ハッピーステートのAI研修・セミナー案内をご覧ください。本記事で紹介した地域広報のテーマをもとに、ご希望の内容を相談いただけます。
執筆:上田良江(ハッピーステート株式会社/AI講師)
